Mind Attractor

心を引きつけるもの

一見正しいけど実は間違いを含んでいる話

世の中には、いろんな立場の人、いろんな考え方の人がいます。

それぞれが、それぞれの立場から発言しているので、みんなの意見は微妙に違ってきます。

 

一見正しいように思えるけど、実は間違いを含んでいる話もありますね。

そのような詭弁や誤謬について考察した本がありました。

 

『場を支配する「悪の論理」技法』という本です。

場を支配する「悪の論理」技法

場を支配する「悪の論理」技法

 

 

悪の論理とは? それを防ぐ、あるいは使う方法とは?

間違っているが、一見正しい論理」のこと。

【例/頭の回転】

「地頭」と同義。凡人が、知識の量的差異を埋められないことに気づいた相手に、質的差異をアピールするために持ち出す概念。

 

こうした言葉や論理の裏側に自覚的になり、他人から押し付けられる悪の論理を喝破することで、おかしな意見から身を守ることができる。

それどころか、逆に自分が悪の論理を使いこなして他人を操ることができれば、圧倒的に有利な立場に立つことができる。

「普通」の論理学関連本では絶対に身につかない、「使える」論理と非論理の解説書。

 

目次

まえがき 物事を正しく考えるための処方箋

 

Ⅰ なぜ、あなたの主張は通じないのか?

 

■ダメな議論

 「中絶したことがおありなんですね?」 京大生との会話・前篇

 謎の問題意識からはじまるぼやけた主張「エゴはよくない」というエゴ

 こんなバカ、本当にいるの?

 感情は守るべきだが法令は守らなくてよい? 京大生との会話・後篇

 悪の論理には悪の論理を

 「義憤感情」の根拠はどこに?

 

■ダメな議論リターンズ

 ニートは迷惑な存在なのか? そして迷惑は悪なのか?

 「ニートこそ真に優れた人間」の理由とは?

 「よいニート」と「悪いニート」の分類

 変化していく「ニートはなぜ悪いか」の根拠

 自由主義の呪縛と定義の違い論争

 

■知性が足りない人たちの「悪の名言」を分析する

 「じゃあお前が○○すれば?」 悪の名言①

 「みんながそんな考えを持ったら」 悪の名言②

 「あなたが殺されてもいいの?」 悪の名言③

 「コンプレックス」 悪の名言④

 「社会に出て通用しない」 悪の名言⑤

 「押しつけ」 悪の名言⑥

 

Ⅱ 悪の論法の見破り方と使い方

 

■代表的な詭弁術を分析する

 隠れた前提

 架空の論法

 相殺法

 前件否定の誤謬と後件肯定の誤謬、後件否定における詭弁

 選言肯定

 排中律と矛盾の悪用

 誤った二分法

 不適切な比喩

 自家撞着(「矛盾」と同じ)

 権威論証

 多数論証

 分割の誤謬

 合成の誤謬

 早まった一般化

 未知論証

 ハゲ頭のパラドックス

 論点回避

 論点先取

 循環論法

 充填された語

 伝統へのアピール

 目新しさへのアピール

 対人論証

 多重尋問

 I have black friends論法

 ご飯論法

 回答の回避と質問の反復(論点拡散)

 

■詭弁の矛盾を突く方法・利用する方法

 相手の論理と同じ論理を使って矛盾を導く

 相手の前提に乗って矛盾を導く

 相手にだけ不利な状況をつくる

 マナーに対してルールで対抗する

 実現可能性や現実性を疑う

 「少しでも良くなるなら論法」にはコスト面から攻める

 証明、根拠の提示を迫る

 前提の後退を見逃さない

 権威と反権威、具体性の悪用

 数字を比較尺度や身体的尺度に置き換える

 シナトラ・テストの悪用


Ⅲ パワーゲームと論理、そして非論理

 

■「権力」――論理と詭弁の彼岸

 マグカップの中の嵐 カフェオレ問題

 問題:「1+1=2」はなぜ正しいか。証明せよ

 問題:「私は神である」と主張する男を説得せよ

 「正しさ」を担保するものの正体

 

■「道徳」という非論理の典型と排他性

 道徳家に欠けるマイノリティへの視線

 道徳家の素顔は権力・暴力信奉者

 権力を手に入れるための3段階

 働きアリたちはいかにして地べたを這うか お金持ちになるゲーム

 弱いイヌほどよく吠える 静かなる革命の後に

 力の源泉は「善悪」の利用と捏造

 畜群と「常識」「普通」「正常/異常」

 実証性の低い哲学はゴミ箱に移そう

 思い込みからの解放

 あらためて前提を置き直す

 人生を幸福にするために 意味の呪縛

 無意味なもののうちにある意味 強度への誘惑

 

■本物の「自由」を手に入れるための思考実験

 「勘違いした女性」にむかつかなくなるまで

 バスの床にいる神

 あなたの思考の自由度を測る トロッコ問題

 道徳はどの程度機能しているか お金がもらえる殺人ボタン

 「カフェオレ問題の正解」の保有者たち アンケート結果

 合理的な人間は「自分の利益」だけを考えない 希望としての新しい経済学

 人生を豊かにするシンプルな計算 ラージN理論

 幸せづくリの前準備

 

付録 悪の名言辞典

 

答え合わせ なぜ人を殺してはいけないのか?

 

あとがき 思想で遊んで楽しく生きる

 

著者紹介

とつげき東北

1976年兵庫県生まれ。

東北大学工学部通信工学科卒。

北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科中途退学後、中央省庁に勤務。

2004年、ベストセラーとなる麻雀戦術書『科学する麻雀』を出版。

麻雀の科学的研究の第一人者とされ、各種学会で講演を行う。

東京大学非常勤講師、デジタルハリウッド大学特別講師。

2018年現在では、国家機関を離れ、某研究機関にて統計学関連の研究に従事している。

 

Webサイト(本家)

http://totutohoku.b23.coreserver.jp/hp/

 

Webサイト「名言と愚行に関するウィキ」

http://totutohoku.b23.coreserver.jp/totutohoku/

 

Twitterアカウント @totutohoku

 

twitter.com

 

f:id:mindattractor:20190709180400j:plain

(via https://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/170725

 

とつげき東北 - Wikipedia

とつげき東北 (とつげきとうほく、1976年11月11日 - ) は、兵庫県出身の雀士、麻雀研究家である。

2001年東北大学工学部通信工学科卒業、2002年北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科中退。大学院中退後、国家公務員となる。

2018年10月現在は、国家機関を離れ、某研究機関で統計学関連の研究に従事。元東京大学非常勤講師。

 

出版社情報

www.forestpub.co.jp

 

書評

本書は、様々な詭弁のパターンを集めて解説した本であると紹介されています。

 

詭弁 - Wikipedia

詭弁(詭辯、きべん、希: σοφιστική、英: sophism)とは、主に説得を目的として、命題の証明の際に、実際には誤りである論理展開が用いられている推論

間違っていることを、正しいと思わせるようにしむけた議論

奇弁、危弁とも。

意図的ではない誤謬は異なる概念。

 

読んでみると、説明で間違えている部分がいくつかありました。

 

(p.139)

問題:「1+1=2」はなぜ正しいか。証明せよ

 

数学には「公理」があります。

 

公理(こうり)とは - コトバンク

公理 こうり axiom

数学の理論をつくるときの基礎におかれる命題で,無証明命題ともいわれる。

 

1 一般に通用する道理。

2 数学で、論証がなくても自明の真理として承認され、他の命題の前提となる根本命題。

3 自明であると否とを問わず、ある理論の前提となる仮定

 

公理 - Wikipedia

公理(こうり、英: axiom)とは、その他の命題を導きだすための前提として導入される最も基本的な仮定のことである。

一つの形式体系における議論の前提として置かれる一連の公理の集まりを公理系 (axiomatic system) という。

公理を前提として演繹手続きによって導きだされる命題は定理とよばれる。

多くの文脈で「公理」と同じ概念をさすものとして仮定や前提という言葉も並列して用いられている。

公理とは他の結果を導きだすための議論の前提となるべき論理的に定式化された(形式的な)言明であるにすぎず、真実であることが明らかな自明の理が採用されるとは限らない。

知の体系の公理化は、いくつかの基本的でよく知られた事柄からその体系の主張が導きだせることを示すためになされることが多い。

なお、ユークリッド原論などの古典的な数学観では、最も自明(絶対的)な前提を公理、それに準じて要請される前提を公準 (postulate) として区別していた。

 

公理には様々なものがありますが、「ペアノの公理」を選んだ場合、「1+1=2」が成立します。

 

ペアノの公理 - Wikipedia

ペアノの公理(ペアノのこうり、英: Peano axioms) とは、自然数全体を公理化したものである。1891年に、ジュゼッペ・ペアノによって定義された。

ペアノの公理は以下の様に定義される。

 

自然数は次の5条件を満たす。

1. 自然数 0 が存在する。

2. 任意の自然数 a にはその後者 (successor)、suc(a) が存在する(suc(a) は a + 1 の "意味")。

3. 0 はいかなる自然数の後者でもない(0 より前の自然数は存在しない)。

4. 異なる自然数は異なる後者を持つ:a ≠ b のとき suc(a) ≠ suc(b) となる。

5. 0 がある性質を満たし、a がある性質を満たせばその後者 suc(a) もその性質を満たすとき、すべての自然数はその性質を満たす。

 

従って、その他の公理を選んだ場合には、「1+1=2」とならない論理体系も構築可能となります。

 

「1+1=2」が正しいか否かの説明をする場合には、「公理」の説明が必要になります。

本書『場を支配する「悪の論理」技法』では、公理の説明を抜きにして、「1+1=2」の妥当性に関する考察を進めていたので、ちょっと説明方法が良くないと思われました。

その他にも、説明の綻びが見受けられたので、読者は間違い探しのクイズをやるつもりで読んでみたらいいと思います。

 

本書の意義は、詭弁のパターンを収集し、その無害化を試みた筆者の努力にあると思います。

 

  • 詭弁を見抜いて、騙されないようにする。
  • 交渉をうまく進める。

そのようなノウハウを得たい場合は、他の本もお勧めです。

 

 

図説 心理戦で絶対負けない交渉術

図説 心理戦で絶対負けない交渉術

 

 

キッシンジャー超交渉術

キッシンジャー超交渉術

 

 

これらのノウハウを参考にして、世の中にはびこる様々な詭弁や誤謬について考察してみたいと思います。