裁判では解明されなかったオウム真理教事件の全容
オウム真理教事件の裁判で、事件の全容・真相は解明されたのだろうか?
「事件について、不明点は何も残っていない」と主張する者もいるが、果たして本当なのだろうか?
- なぜ事件は起きたのか?
- 裁判終了をもって、再発防止のための施策は万全になったのか?
答えは「否」と言わざるを得ない。
裁判の迅速化のために、検察が取り下げた起訴内容が多数あったからだ。
2011/11/20付
21日に終結するオウム真理教事件の刑事裁判。元教団代表、松本智津夫死刑囚(麻原彰晃、56)は一審の公判が250回を超える一方、二審の公判が開かれないまま死刑が確定した。被告人質問で一切語らなかった松本死刑囚。審理短縮のため起訴内容を絞り込んだ検察側。異例の経過をたどった公判は刑事司法の課題を浮き彫りにし、その後の改革につながった。
一連の事件で起訴された189人の中で、真相解明の中心となるはずだった松本死刑囚の公判は1996年4月に始まった。同死刑囚は当初、時に冗舌なほどに主張を口にしたが、その内容は明確な焦点を結ばない。「全て背負う」と罪を認めるかのような発言をしたかと思えば、一転して「一切指示していない」と弟子の犯行と断言。不規則発言を繰り返し、たびたび退廷させられた。
松本死刑囚の一審公判では、検察側も苦しい判断を迫られた。
「検察側立証だけで25年」(東京地検)という途方もない時間がかかる恐れが高まり、同地検は97年12月、地下鉄、松本両サリン事件の重軽傷被害者のうち、障害が重い18人を除く3920人を殺人未遂の起訴内容から撤回する訴因変更を決断。00年10月には起訴した17事件中、覚醒剤密造など4事件を取り下げた。
刑事訴訟法1条は刑事裁判の目的として「真相解明」を掲げるが、起訴を取り下げれば審理されない。起訴内容から除かれる被害者の期待を裏切りかねない面もあった。
検察の判断が間違っていたとは思わない。
しかし、結果的に「省略されて、不解明になった内容が残った」というのが、裁判の真相だ。
麻原死刑囚の代弁を試みる者たちに課せられた義務
マスコミ、ジャーナリストは、他人の心をテレパシーで完璧に読み取れるのか?
- 他人の心を読み取れる人間がいたら、その証明をして欲しい。
- 事件の原因と実行方法について、麻原死刑囚の心を読み取って、全容を報告して欲しい。
他人の心を読み取り、代弁できる人間はいるのか?
いないなら、直接本人から聞くのが道理なのではないか?